2020年本屋大賞ノミネート作品の中で「読みやすい」という感想を多く見たので気軽な気持ちで読み始めました。
確かにスラスラと読めました。そして、思っていた以上に面白かったです。
思っていた以上、というのは本屋大賞の結果が9位だったからという理由からです。
正直なところ「芥川賞」や「直木賞」より本屋大賞派の僕としては本屋大賞ノミネート作品というだけで安心して買える一冊になります。
今回の記事では「店長がバカすぎて」のレビューをしていきます。
店長がバカすぎて 著:早見和真 レビュー【2020本屋大賞 9位】
全6話からなる連作短編集となっています。
1話 店長がバカすぎて
2話 小説家がバカすぎて
3話 弊社の社長がバカすぎて
4話 営業がバカすぎて
5話 神様がバカすぎて
最終話 結局、私がバカすぎて
「笑い・涙・技術」の三冠王と言えるラインナップとなっておりました。
個人的には2話の「小説家がバカすぎて」が好きでした。

店長はどんな人間なのか
この本のタイトルにも絡んでいるため、当然重要人物となっているのは「店長」です。
本書の舞台となっている本屋は
【武蔵野書店 吉祥寺本店】
店長、その名は「山本猛 (やまもと たける)」
ある意味主人公というべき書店員の「谷原京子」からは
『名前だけは勇ましい』と思われている。
「谷原京子」
派遣として働く書店員の一人。この物語の主人公と言ってよい存在。
武蔵野書店の吉祥寺本店で働く小柳真理という店員に憧れて書店員になった。
物語の中で、繰り返し出てくるのが
本屋さんが開店する前に行われる朝礼のシーン。
朝礼では「いかにも店長っぽい」ことを山本店長は書店員に向かって言います。
・おすすめの本を堂々と紹介するが、それがかなり古い
・「ご存じとは思いますが」が口グセ
・武蔵野書店を代表する「親社長派」
・非の打ちどころのない正論を言うこともある
・書店員の名前を間違える。(本人曰く、これはどうしようもないらしい)
ざっと上げてみると、これが山本店長の特徴とでも言いましょうかクセとなっています。
4つ目に
「非の打ち所がない正論をいうこともある」
とあります。たしかに、店長の発言を文字だけで見ると良いことを言っている事が、意外なほど多く出てくるんです。
しかし、これは書店員には「響かない」
特に「谷原京子」には、全く響かない。それどころか、イライラさせてしまいます。
この物語は「谷原京子」の目線で描かれており、店長はそこまで多く出てきません。
しかし、店長が物語に与える影響は大きいです。
書店員の現実とあるあるが描かれている(と思う)
ある程度、知っていたことではありますが書店員というのは「薄給」で「多忙」です。
本が好きだから・・・という気持ちに頼っているような業界と言えるのでは?と思っています。
僕が働いている介護業界とよく似ているような印象を受けました。



「やりがい搾取」と言われる業界で働く仲間という
勝手な仲間意識をもって本を読んでいきました。
途中で、本屋にやってくる迷惑な客を「神様A」「神様B」と紹介してくれるシーンがあります。介護業界にも迷惑な家族がいます。
しかし、この本に出てくる「神様」はあとあと物語のキーになってくる人がいました。
無下に扱うことはできません。
その他にも、大手出版社と書店の関係性が描かれていたり
薄給の中でいかに好きな本を買うのかという書店員の葛藤なども描かれており
書店員あるあるも描かれているのかなと思いました。
僕は書店員ではありませんので分かりませんが・・・
映像化してほしい
実際、本屋大賞にノミネートされました。
この本の中でも「本屋さん大賞」が出てきます。
本屋大賞を意識した作品なんだろうなと想像が出来ます。
本屋大賞の大賞受賞作品は例年「映画化」されるのが通例となってきています。
だからなのかは不明ですが
素人考えで「店長がバカすぎて」は映像化しやすいように思いました。
店長は「大泉洋さん」しかいないと思います。
なんせ、読んでいる途中から店長は「大泉洋さん」でしたから
ぜひとも映像化してほしいなと思わせてくれる作品でした。
まとめ
2020年本屋大賞で9位になった「店長がバカすぎて」の感想を書いてきました。
変に気張らずに読める作品だと思います。
実際、ほぼ一気読みできる読みやすさでした。
そして、読みやすさだけでなく「技術」もあって
あまり読書をしない人にも「おススメしやすい」作品だと思いました。
途中でも触れていますが、ぜひとも映像化してほしいなと切に思います。