忍足みかん「#スマホの奴隷をやめたくて」感想
今年の春には5G対応のケータイが出ようとしている世の中の真逆をいくようなタイトルの本書。
個人的には「スマホを落としただけなのに」シリーズを読んだ直後に知った本なので興味を持って購入に至りました。

忍足とかいて「おしだり」と読む”おしだりみかん”さんの「#スマホの奴隷をやめたくて」を紹介します。
内容
この本は、著者がスマホと出会いスマホとお別れするそんな話です。
ガラケーを使っていた18歳の頃から書かれています。
プロローグ・・・23歳スマホ依存症、今日ガラケーに帰ります。
1章・・・18歳、みんなと同じじゃないと、死ぬ系女子
2章・・・20歳、スマホ=心臓ですが、なにか?
3章・・・22歳、スマホゾンビに、弾丸を。
4章・・・25歳、スマホの奴隷を、やめました。
付録:「スマホの奴隷をやめる12の法則」
パラパラっと目次を読んで「この本は読みやすそうだな」という印象を抱きましたが、読み終わった今もその印象に間違いはないと思っています。
文章が読みやすくクスッと笑える表現
こういう本の文章を「軽妙でポップな文章」と言うのでしょうか?(自分の語彙力が・・・)
僕はこの本のようなう言い回しの文章は好きでスイスイと読めました。
「本てさ~文章が難しくて読む気にならないのよね~」なんていう、今どき女子高生に読んでほしい一冊です。「内容がフィットしそう」というのもありますが、この本をきっかけに【他の本を手に取ってみようかな?】【読書って面白いじゃん】と興味をもってくれるのではないかと出版界を立て直す縁の下の力持ち的な発想もあります。
全体で140ページほどという量の少なさも「読書の世界へのはじめの一歩」としての障壁を低くしていると思います。



話の流れ
1章(18歳)
ガラケーを気に入って使っていた著者。しかし、世の中はどんどんスマホが「当たり前」で「多数派」になってきます。そんな中、著者もそのスマホが当たり前の世の中の波に押されスマホを使ってみたけど「まぶしい」「入力がしにくい」と思った
2章(20歳)
18歳の頃にスマホを初めて使ってみて「ガラケーで良いじゃん」と思っていたけど、この頃はスマホが無しでは考えられない生活になっていた。SNS、スマホゲームにどんどんハマっていく。スマホの充電が切れた時はデジカメでカフェで出てきた料理を撮影してネットカフェでSNSにアップロードする。そんな時に友人から「スマホ依存症だね」と言われ、そうじゃないと否定するが・・・
3章(22歳)
この章では、ささいな事をきっかけに「スマホは辞めた方が良いのではないか」と思うようになります。しかし、世の中はもうすっかり「スマホが当たり前」になっている。そんな時に「ガラケーに戻す」なんて・・・と色々な葛藤が描かれています。
4章(25歳)
ガラケーのようなスマホ「ガラホ」の存在を知りその「ガラホ」に機種変更をした著者。ガラケーにしたことによる自分の変化を描きつつ周りからの冷ややかな視線、反応も描かれています。
著者の思いが作品内に込められている
特に終盤にこの本を書くにあたり思っていること、この本が読まれることによりどうなってほしいのかが書かれてあります。
一つ紹介すると・・・
本のタイトルから察するに「スマホ絶対反対!!」という感じを受けるかもしれませんが、著者は「そうではない」と書いています。
・スマホによって障害のある人が学習をしやすくなる
・ガラケーのようにボタンがあることで障害のある人が連絡を取れるようになっている
というように両方にとってそれぞれメリットがある人が存在するのが今の世の中。どちらだけを良しとするのではなく「どっちを使っても良い」と皆が思える世の中になれば良い。そう著者は書いていました。
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まとめ
上に書いてある「どっちを使っても良い」という考えにはすごく共感できました。
本書にも出てくるのですが、今の世の中「多数派」に属していないとそれだけで「おかしな人」「変わった人」と冷ややかな目線を浴びます。自分が何かで少数派に属していて生きづらさを感じている人にもおススメ出来る本だとも思います。
僕はスマホを使いだしたのは、確か2012年ぐらい。もう8年ほど使っていますが、いまだに入力ミスされていて少しの苛立ちを覚えることもあります。スマホに変えようかと考えた時に「ガラホ」が選択肢にあったのも事実です。そういう意味で親近感を覚える作品となりました。
「2000年最初の10年はスマホが一気に普及した10年」
でも
「今からの10年はスマホが(必要)無くなる10年」と言われているそうです。
考えてみると今から10年前はmixiが一世風靡していましたが、今はほとんどの人がmixiから離れています。mixiやってないの?なんて言っていた人も今はやってない人が多いんんです。
そう考えると「まだスマホにしてないの?」という人が「まだスマホ使ってるの?」という世の中が今そこに来ているのかもしれません。
世の中の多数派に惑わされることなく「自分の良いと思ったもの」「自分にとってメリットのあるもの」を皆が使ってお互いを尊重し合える世の中になれば良いなと思いました。
【雑感】
この本に限った話ではないのですが、どの本にも「参考資料」というものが巻末に掲載されています。その量の多さにいつも驚かされます。