この本は読書メーターというアプリで他の方の感想をみて読んでみようと思い購入しました。
「悪寒」まとめ・感想 著:伊岡瞬
まずこの本にはプロローグがあります。
被告人が犯行について認めつつある。そんな場面なのですが、被告人が誰なのかがはっきりしないような書かれ方をしています。
このプロローグがとてもよく、この本への期待感を膨らませてくれました。
内容
藤井賢一(夫)※主人公
倫子(妻)
香純(娘)
智代(賢一の母)
優子(義理の妹)
南田隆二(殺される人)
南田信一郎(隆司の兄)
白石真琴(弁護士)
真壁(刑事)
賢一は本社の不祥事があり地方に出向して働いていた。出向先では上司(松田)からパワハラを受けていた。
賢一は倫子(妻)から「最近は変えてこなくて良い」と言われるようになっていた。香純(娘)からも絶好宣言をされており、智代(母)は認知症の症状が進んでいた。
本社の不祥事について賢一は巻き込まれたような恰好だった。「時期が来たら本社に戻して
やる」という約束のもと出向していたが、その時期がもう近いのだが異動の話が全く耳に入らず不安に思っていた。
出向先の同僚と食事中、妻からメールが入った
「家の中でトラブルがありました。途中まで洗濯はしたのですが、妹に相談したら警察が来るまで掃除をしない方がいいと言うので、床はそのままにしてあります申し訳ありませんがラグにシミが残るかもしれません。こちらはなんとかなりますので、お仕事を優先させてください。」
出典元:悪寒 52ページより引用
意味不明なメールであった。倫子がこんな要領を得ないメールを送ってくるのは初めてだったので賢一は折り返し連絡を取ろうとするが連絡が取れなかった。
何かあったのは間違いないということで自宅に帰る。
その道中、優子(妻の妹)から
「倫子が人を殺した。相手の身元はまだ分かっていない」
と連絡が入る。
その後、警察から連絡が入り事実であることが確定した。
その後分かったのだが
妻が殺したのは
賢一が勤めていた本社の常務(南田隆二)だった・・・
★妻がなぜ常務を家に入れて、殺したのか
★常務はなぜ、自分の自宅にいたのか
2部からは一気読み推奨
この本は400ページほどありますが、第1部だけで300ぺージあります。
残りの100ページほどは一気に読んだ方が良いです。色々な謎が新たに出てきてしかも解明されていきます。
次々と展開が変わりますので一気に読んだ方が理解しやすく、驚きが連続して面白いと感じました。

犯人の読みはハズレました
個人的に「こいつが犯人なのでは・・・?」と思っていた人がいるのですが、外れました。途中からその人が犯人になりそうな流れだったので、余計にがっかりしました。
しかし、本当の犯人を知る展開は「盲点をつかれた」と悔しかったです。
僕の予想していた人は、かなり裏をかいたつもりだったのですがとんだ見当違いだったようでした。
犯人を予想しながら読むとラスト100ページを余計に楽しむことができると思います。
人間の冷たさと温かさ
この本を通じて感じたのは「人間の冷たさと温かさ」というところです。
事件が起こり、賢一は最初の方は警察から「妻に殺人をそそのかした」という共犯者、というよりむしろ真犯人として見られます。
その情報が会社を駆け巡ります。賢一が会社に行った時は、今までと180度態度の違う同僚の姿を読者の方も味わうことになります。
また、大企業にありがち(なのか?)な派閥争いも体験することになり「人間の冷たさ」というものをまざまざと味わわざるを得ません。
しかし、ところどころに「人間の温かさ」を感じる場面もあります。ネタバレをしないために、詳しくは書けないのですが確かに「人間の温かさ」というものも味わうことが出来ます。ただただ、人間の冷たさを見せつけられる話ではないということは言っておきます。
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まとめ
伊岡瞬さんの本は「不審者」に続いて二冊目でした。
どちらも面白い話で最後にアッと驚かされました。
思わぬ人物から「ハッとさせられる」ような言葉が出てきますので楽しみにしてもらえればと思います。
最後の100ページの展開の多さと驚きが圧巻の「悪寒」を紹介しました。
こういう話を書くことが出来る作家さんを心の底から尊敬します。
単純に「どうやったらこんなこと思いつくんだろう」と毎回思います。