神さま気どりの客はどこかでそっと死んでください(ネタバレ無) 感想・まとめ
1話 うさぎと蜘蛛
2話 コールセンター
3話 神さま気どりの客はどこかでそっと死んでください
2話のコールセンターは20ページほどであっという間に読めます。
内容

1話 うさぎと蜘蛛
主人公(樋口冴)は思ったことをそのまんま口に出してしまうような子供時代を過ごしていた。恋愛経験がほとんどない、さらに結婚願望もまるでない。そんな冴(さえ)が結婚相談所に就職した。
しかし、どうして恋愛経験もほとんどないしルックスも褒められるほどではない冴が結婚相談所に就職できたのか。冴は上司に聞いてみた「面接のときの樋口さんの目がものすごく真剣だったから」と返事がきた。
就職後、昔からの悪い癖である「思ったことを口にする」ということをしないように気を付けていた。
今作の神さま気どりの客「藤原」
結婚相手に求める理想が高い。そのうえ女性に対して上から目線で「○○ラビット」とあだ名をつけている。そんな藤原の仲人をしていた冴がとっておきの人「園田莉央」を紹介する。藤原は一度目のお見合いで「運命の相手だ!!」と喜び意気込んだ。
しかし、園田から「次のデートを仲人の方から断ってほしい」と連絡が入る。上司と相談もして断りの電話を入れたが、まだあきらめない藤原は強引に頼んだ結果ディナーだけならと許可を勝ち取った。(「決戦ディナー」と呼んでいた)
園田も園田でここまで押しに弱いものなのか・・・
決戦ディナーで当然の如く敗戦した藤原。その藤原に対して冴も我慢をし続けていたが、思っていたことを口に出してしまった。
相手にルックスを求める藤原に対し「自分に持っていない物を求めるのはどうかと・・・」とつい口に出してしまっていた。
上司と藤原宅に謝罪に行ったときに、藤原から思いもよらぬ言葉をかけられる。
「樋口さんは気に入らなかったんですよね?僕が莉央ちゃんと付き合うのが」
藤原宅には女の写真(おそらく園田のもの)があった。
ここまでは、お笑いのツッコミを入れる感じで読めていた部分もあったのだが、ここからは藤原という男が怖くなってきた。
その後、藤原の手によって(だと思われる)嫌がらせが相次ぎ藤原は冴のストーカーに変貌を遂げてしまう・・・
2話 コールセンター
この話は20ページとかなり短い。登場人物はメインは3名なのだが、事実上1人だ。
その名前は「前野」コールセンターのチーフをしている
派遣として働いて一番のベテランで勤続7年目。年齢は38
新人に業務内容を説明するところから始まるのだが、その新人からクレーマーについて聞かれる。そうすると基本的な対処法のあとこれまでのクレーマー武勇伝を教えてくれる。そして最近毎日のようにかかってくる「山田」というクレーマーの話になった。
そして、その「山田」という男から電話がかかってきて「前野」が対応する・・・
この話はページ数が20ページということもあるのだが、それ以上に短く感じる。
そして痛快である。一言でいうと「前野」の大逆転劇をまざまざと見せつけられるのだが、はたして本当にそれは「大逆転劇」だったのか・・・
立ち読みで読み切れる量・スピード感だった
3話 神さま気どりの客はどこかでそっと死んでください。
主人公:宮坂佳奈
子供のころからの夢「声優」を目指している。26歳
昼間は声優の仕事をしているが、少しのお金にしかならない。だからコンビニの深夜アルバイトをしている
同じく、夢を追い続けている同い年の彼氏とほぼ同棲状態だ。
そのコンビニに迷惑な客が来ているがその中で二人特に嫌な客がおり、その二人には「綿ぼこり」「便所サンダル」とあだ名を付けていた。
声優仲間の仕事が決まったお祝いをしているときに「縁切り神社」のことを知る。
佳奈は思った「あの煩わしい神さま気どりのバカ常連客たちを一掃してほしい」
思い立ったが吉日と縁切り神社に行き絵馬にこう書いた
『嫌な客を、私の代わりに殺してくれる、死神をレンタルさせてください』
それから少しして「綿ぼこりさん」が現れた時に、いつ入ってきたのか分からない全身を黒で統一されたおそらく初めての客も来ていた。
それはまるで死神みたいだった・・・
前作からの流れ



著者の前作「今日は天気がいいので上司を撲殺しようと思います」を読んだ方なら、1話を読んで「あれ?この名前・・・」と言う感じで前作からの流れを感じる場面があります。
この本から読み始めても問題はないですが、出来れば前作を読んでからの方が面白く読めると思います。
前作の鍵を握っていた「縁切り神社」が今作でも大活躍します。
一方で、前作との違いという点では、今回の話に出てくる職場はどれも素晴らしい職場だという点。ブラックな職場ばかりが出てきた前回と違う、迷惑な客がいなければ最高な環境が整えられていた。
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まとめ
「世にも奇妙な物語」風な展開となっているため、最後どんな展開が待っているのかわくわくしながら読むことが出来た。
特に第3話は最後「そうだったのか!!」と思わせてくれる展開が待っている。
今回の「神さま気どりの客・・・」もどれも面白い話だった。
作者の夕鷺(ゆうさぎ)かのうさん、デビューしてまだ日が浅いと思われるがこのシリーズ次以降もあるのならとても楽しみに読みたいと思う。