辻村深月さんの本にハズレはないということで、予備知識ほとんどなしで購入した『傲慢と善良』を読了しましたので、感想などを書いていきます。
小説『傲慢と善良』 感想・まとめ 著:辻村深月
帯に書かれてある「圧倒的恋愛小説」の文字・・・
正直「恋愛小説」は敬遠しがちな分野。ですが辻村深月さんへの信頼だけを盾に読むことに決めました。

主な登場人物
・西澤 架
・坂庭 真実
もっとたくさん出てくるのですが、メインはこの二人です。
・前半部分は(彼氏)西澤架の視点
・後半部分は(彼女)坂庭真美の視点
となっています。
内容
坂庭真美はストーカーに怯えていた。ある日帰宅すると、自宅の電気が点いていて中にはストーカーの姿が?!
「架くん助けて!」と電話でSOSを出す
そんなシーンから始まります。
この出来事がきっかけで同棲生活をスタートさせました。しかしある日
真実が忽然と姿を消した
真実が姿を消す前にした最後のやりとり
真実「あ、ごめん。今ちょっと・・・また後でこっちからかける」
架「いいよ、俺も今から外回りの仕事。また夜にでも・・・」
別に変わった様子はなかったのに・・・なぜ真実は姿を消したのか・・・
警察を頼るが・・・
警察に捜査を依頼するが「事件性が低い」ということで動いてもらえない
それならば、と架は自分で真実を探すことにする。真実はストーカーに「誘拐」されたと思って・・・
架は調べていく中で真実の色々な事を知る
・真実の家族のこと
・真実がしていた婚活のこと
・真実が婚活で実際に出会っていた男性のこと
架自身に見えていた真実の姿とそうでない事実が出てくる中で架は自分の当時の心境と重ね合わせて色々と考えることになった
友人たちとの飲み会から状況は一変する
自分で真実を探すがまったく居場所の見当がつかなかった
ただ時間が経過していく。「結婚式場の予約をどうするのか」ということも頭をもたげてくる中で参加していた友人たちとの飲み会の場で衝撃の事実を知ることになる
真実はどこにいるのか
真実は何故いなくなったのか
架は飲み会の場で何を知ったのか
この飲み会で衝撃の事実を知った所から終わりまで、僕はほぼ一気読みでした。
電子書籍もある「UーNEXT」(電子書籍無料登録はこちらから)
女性の怖さ
この本を読んでいると前半部分は婚活について色々な考えが書かれてあり色々と考えさせられます。僕自身、結婚願望はほとんど無いですので「へぇ~そんな感じなのか」と他人事のように読んでいました。
読書メーターなどのアプリでは「婚活したことある人にはグサグサ刺さる」というような感想も見ました。正直、前半部分は「婚活の本?」と言えてしまうような部分もあります。
真実の母親
この本である意味、一番印象に残った(残ってしまった)人物です。
娘を思うあまり「え?」と引いてしまうようなことを平気で言う母親の姿
「娘を愛し過ぎた女性の怖さ」のようなものを見ました。
架の女友達
この物語の流れを激変させる彼女たち。
ただただ「女って怖いな」と色々な意味で思うことになるでしょう。
真実
主な登場人物である「彼女」坂庭真美も怖い女でした。
「共感できない」という感想を書いている女性読者が多く見られました。



まとめ
途中から一気読みした『傲慢と善良』
架の女友達からある事実を知らされてからこの本の流れが激変しますが、そこから一気に面白くなります。
「真実には共感できない。でも架は応援したくなる」
そんな感想を多く目にすることが出来る本書。僕もまさにその通りでした。
真実のような女性を苦手とする男性読者は多いと思います。
この物語、序盤は「ミステリー小説」のような感じで進んでいきますが読み終わると「恋愛小説」を読んだ気分になります。
『傲慢と善良』は恋愛小説です
最後に少しだけ「個人的に苦労した所」を書いておきます
・二人とも30代後半の設定なんですが、なんだか「若いアラサー」の二人の物語のような感覚で読み進めました。
・彼女は「真実(まみ)」という名前ですが、読んでいる時に何度も「しんじつ」と読んでしまいました。